4月のソーシャルワーク基礎研修講座の受講者で、普段は学校の先生をされている方よりご感想をお寄せいただきました。感謝してご紹介します。
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私は、日ごろは、障害児学校(特別支援学校)で知的障害を伴う自閉症の子どもたちと関わっている教員です。これまでの10数年は、目の前の子どもへの教育を行う学級担任でした。しかし、昨年度から「教育支援コーディネーター」となり、目の前の子どもへの指導に加え、児童相談所や福祉課など、様々な関係機関の人とつながり、子どもや家族を援助する方策を考える役割を担うようになりました。
保護者の方々にとって、障害をもった子どもを育てることは、楽しさや喜びがある一方で、様々な悩みや苦しみ、ときには、我が子を否定したくなるようなつらさがあります。併せて、周囲の人の理解が乏しかったり、福祉制度の不備により、経済的な苦しさを抱えていたりするなど、保護者の方だけでは解決できない「大きな壁」が存在しています。
私は、保護者の方々が抱えるこうした「壁」を少しでも低くしたり、やわらげたりするために、コーディネーターとして何を考え、どのように動いたらいいのか悩み、苦しんでいました。そんなとき、インターネットを駆使して、「ソーシャルワーク」、「虐待」、「貧困」といったキーワードを検索していたときに、「コスモス村」、「山下英三郎先生」に出会いました。
藁にも縋る気持ちで、「ソーシャルワーク基礎研修」に申し込み、コスモス村を訪れました。
三日間の研修や山下先生の姿(食事を準備されたり、私たちに語り掛けたりする姿など)から、私は「ソーシャルワーク」には、これまで私が自閉症の子どもたちから学んできたことと共通した価値があることを痛感しました。
すなわち、実践者(教師やソーシャルワーカー)は、子ども(クライエント)が、「自分を大切な存在であること」、「自分の意味や価値」を十分に実感できるように働き掛けること、そのためには、相手の尊厳を尊重し、相手のねがいを受け止めていくことが不可欠であるということです。
しかしながら、相手の尊厳を尊重したり、ねがいを受け止めたりすることは、言葉で表現するほどたやすいことではありません。山下先生は、「ソーシャルワークには、人間修行が必要です。」、「相手を変えるということではなく、自分がどうするか、自分自身が問われるのが、ソーシャルワークです」とおっしゃっていました。「ソーシャルワーク」を「教育」に置き換えて考えると、両者は離れがたく、つながった関係であると感じました。
今、教育現場では、「GIGAスクール構想」や新学習指導要領などにより、様々な「改革」が求められ、子どもたちは、管理、競争の波にさらされています。コスモス村での学びをエネルギーにして、子ども一人一人が「コスモ」であり、かけがえのない存在として生きていくことができるような学校、地域社会をつくっていきたいと思っています。私も一人の「コスモ」として、日々、元気に、そして、相手の尊厳を尊重し、相手とのつながりを大切にできる人間として成長していきたいです。
「コスモス村」は、私にとって心のよりどころであり、原点を見つめなおす大切な場所となりました。引き続き、よろしくお願い致します!