3月修復的対話感想Vol.1

3月の「修復的対話講座」へ参加された藤田さん(東京都)よりご感想をいただきました。感謝してご紹介させていただきます。

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3月15日(金)~17日(日)2泊3日の研修に参加しました。

研修に参加することはもとより、何よりも一度コスモス村に行ってみたいという強い思いに駆られ、かなり前から申し込みをしました。ところが、いざ研修が近くなってくると、現実的にRJを使える現場をもっているわけでもなく、何に役立つのか、役立てられるのかすぐには思いつかず、研修に行く意味があるのか?という、元も子もない疑問を抱えてしまいました。それでも、現実的にはすでに3万円を支払い、往復の電車の切符も購入してあるため、もちろん参加しました。

3月とはいえ、やはり長野の山の中は雪が道路わきに残っていて、気温が東京とは10度も低く、空気が澄み切っていました。素敵なコスモス村に到着すると、村長のクリスの恒例のお出迎えの鳴き声。中に入ると、素敵なタペストリー、暖炉、ソフアー、大きな木のテーブルなど心地よいものにあふれていて、やっぱり参加して大正解でした。

参加したメンバーはそれぞれ異なる地域からの4人の女性。お昼の時間からおしゃべりと笑いが絶えませんでした。

研修は自己紹介から始まって、RJについての基礎知識、先進地域(主にアメリカやオーストラリアなど)の事例紹介、トーキングサークルやRJサークルについて、コンファレンスのガイドラインや手順など盛りだくさんの内容。しかも、温泉ツアー、買い物ツアーにカラオケと娯楽も充実。もちろん、毎回の食事は地元の食材を使ったおいしいものばかり。終始研修に参加して私たちのバディでいてくれたクリス村長。3万円で参加できるこの研修は超お得です!

研修後半は、先進事例を扱ったドキュメントDVDの視聴をしたり、実際にサークルのロールプレイもやったりしました。私が特に感銘を受けたのは、ミネソタ州での取り組みを扱ったドキュメントです。内容は、悪い仲間と4軒の家に入り込み窃盗や器物を破壊した罪で捕まった、加害少年と彼の家族と被害にあった家族とのカンファレンスの様子です。

当初は札付きの悪童だった加害少年は少年院での更生指導を経て、被害者家族とのカンファレンスに参加したいと思うように気持ちと態度を変化させ、実際にそれが実現します。4組の被害家族のうち1組だけの参加でしたが、加害少年とその家族、そして被害家族のそれぞれがときに涙しながら、正直に自分の思いを伝え、相手の話にも真摯に耳を傾けて、参加している姿に感銘を受けました。

また、学校の関係者や警察官などいろいろな立場の人たちが、加害少年をサポートしようとしている地域の受け入れ態勢がすばらしいと思いました。それでも地域の中にはすべての人が、受け入れてくれるわけでないが、やけにならないようにと現実的なアドバイスをする人もいました。

過ちを犯した人が再生をするためには、厳罰ではなく、人として受け入れてもらえること、批判されることなく自分の話を聴いてもらえる環境が用意される必要があるということが、とてもよくわかるドキュメントでした。また、加害少年がその場にいなかった、隣人のお父さんに、直接電話して謝りたいと家族に申し入れるシーンにも心打たれました。彼が心から自分の犯した罪に向き合い、謝罪して更生していこうとする姿を見て、被害家族も葛藤しながらも彼の変化を認め、彼の謝罪を受け入れようとしてつながりを結びなおそうとしている様子にも共感をもちました。人と人とが対立ではなく、和解に向けてそれぞれが努力する様子は、私に勇気と希望を与えてくれました。人は、変わろうとすれば変われる、でも、それには敬意と愛情をもってかかわってくれる人が不可欠なのだと改めて確信できました。

残念ながら日本での取り組みの事例はまだ多くはないようですが、いじめをはじめとした様々な対立が、学校だけでなく家庭でも社会でも増えている現状があります。いろいろな場面での対立を軽減するのに、RJサークルが役立つでしょうし、これから需要は増えていくだろうと予想します。そのために、フォローアップ研修などを通して、ネットワークづくりをして、RJの普及や実践ができたらいいなと思います。私は直接的な現場をもっていないので、余計にそんな風に思った次第です。

最後になりましたが、終始穏やかで温かいまなざしで私たちを見守ってくださった、山下英三郎先生。あの、ソフトな雰囲気がとても心地よかったです。ありがとうございました。
                 
グリーフサポートステーション サンザシの家 藤田 尋美